りんごの栄養成分と効能効果〜健康によいは本当なのか徹底的に検証!〜
当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。
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「1日1個のりんごは医者を遠ざける」というイギリスのことわざにも出てくるりんご。
今回は、そのようなりんごの栄養や効能についてわかりやすくお伝えし、本当に健康によいのかを検証していきます。
美味しく栄養を活かせるりんごの食べ方も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
りんごの栄養成分と効能効果
水分が約80%も占めるみずみずしいりんごには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれます。
さっそく、りんごの健康や美容に嬉しい効果について見ていきましょう。
血圧が気になる方にオススメのカリウム
りんごに含まれるカリウムには、細胞の浸透圧を調節したり、塩分の排泄を促す働きがあります。
そのため血圧を下げたり、むくみを解消したりする効果が期待できるでしょう。
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腸内環境を整える食物繊維
りんごには、腸内環境の改善に役立つ食物繊維が含まれます。
実のところ食物繊維には水に溶けやすい水溶性のものと、水に溶けにくい不溶性のものがあり、特徴は下記の通りです。
・不溶性食物繊維:便のカサを増やすことにより大腸が刺激されるので、スムーズに排便する効果が期待できる
皮なし・皮つきともにりんごには、水溶性食物繊維より不溶性食物繊維が多いです。
皮なしりんご/生 | 皮付きりんご/生 | |
水溶性食物繊維 | 0.4g | 0.5g |
不溶性食物繊維 | 1.0g | 1.4g |
*100gあたり |
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病気への抵抗力を高めるビタミンC
ビタミンCは、病気への抵抗力を高める働きがあります。
またビタミンCには抗酸化作用があり、老化や動脈硬化の進行を抑える効果も期待できます。
一度にたくさん摂っても余った分は尿として排泄されてしまうため、ビタミンCはこまめに補うとよいですよ。
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さまざまな健康効果が期待されるポリフェノール
りんごには、ポリフェノールが多く含まれます。
そしてりんごポリフェノールの主成分であるプロシアニジンは、下記のようにさまざまな健康効果が報告されています。
・血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させる
・血糖値が高めの方において、血糖値の上昇を抑制する
なお、りんごをカットして放置すると茶色くなるのは、ポリフェノールが酸素と反応するためです。
りんごの変色を防ぐためには、塩水につけるとよいでしょう。
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りんごの皮に含まれる栄養素
りんごの皮や皮近くには、果肉部分に比べて食物繊維は約1.5倍、ビタミンCも約1.6倍多く含まれます。
またりんごに含まれるアントシアニン(※)も皮付近に多く含まれるので、りんごを食べる際は皮ごと食べるのがオススメです。
(※)ポリフェノールの一種で、活性酸素を取り除く働きがある。
赤と白のりんごで栄養は異なるのか
赤と白(黄色っぽいもの)のりんごは色や味が違うものの、基本的に栄養は同じです。
りんごは品種によって収穫時期も違うので、季節によっていろいろなりんごを選ぶとよいでしょう。
りんごを毎日食べた結果どうなるのか
りんご由来のプロシアニジンを毎日摂ると、肥満気味の方において内臓脂肪が減少すると報告されています。
そのため、りんごは生果として初めて機能性表示食品(※)に届けられ話題となりました。
(※)国の定めるルールに基づいて、食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届け出て、事業者が機能性を表示できる制度。
なおプロシアニジンは熱に弱いため、効率的に摂りたい方は生のりんごを選ぶとよいでしょう。
ただしりんごの食べすぎはカロリーや糖質の過剰摂取につながるため、1日1個を目安にしてくださいね。
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りんごはダイエット向きか
りんごは、ダイエットに活用できる食べ物です。
参考までに、卵や生クリームを使用しているショートケーキとりんごのカロリーを比較してみましょう。
ショートケーキ1切れ(100g) | 皮付きりんご1/2個(125g) | |
カロリー | 318kcal | 70kcal |
糖質 | 44.6g | 16.1g |
このようにりんご1/2個(※)のカロリーは、ショートケーキの約1/4しかありません。
(※)Mサイズ1個=約250gで計算しています。
したがってケーキなどのスイーツよりも、りんごの方がダイエットに適しているといえますね。
さらにりんごは、皮ごと食べることでよく噛むようになり、満足感が得やすくなります。
ただしりんごの糖質は果物の中では高めですから、ダイエット中の方は1日1/2個を目安に食べるとよいでしょう。
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【血糖値が気になる方向け】りんごの食べ方
糖尿病など血糖値が気になる方も量に気を付ければ、りんごを楽しめます。
「糖尿病食事療法のための食品交換表(※)」では果物の1日摂取量は1単位(80kcal)ですから、りんごの場合は1/2個を目安にするとよいですね。
(※)糖尿病の患者さんやその家族が食事療法を理解して実行しやすくするために、日本糖尿病学会が発行しているもの。糖尿病の食事療法は、血糖値のコントロールを助け、合併症の予防を目的としたもの。
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体に悪い成分は含まれるのか
冒頭でご紹介した「1日1個のりんごは医者を遠ざける」というイギリスのことわざにもあるように、りんごに悪い成分は含まれません。
ただしいくら体によいとはいえ、食べすぎるとカロリーや糖質を摂りすぎてしまうため、バランスが大切です。
すでにお伝えしているように、りんごは1日1個を目安に食べるとよいでしょう。
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皮に付着している農薬には注意すべき?
国産の農作物は厳しい基準の中で栽培しているため、りんごの皮を食べて健康を害するような心配はありません。
つやつやしたりんごを見て「ワックスが塗られているのでは?」と、心配される方も多いのではないでしょうか。
実のところこのつやは、りんご自身が内側から作り出す天然のもので、油上がり(あぶらあがり)(※)と呼ばれています。
(※)“つがる”や“ジョナゴールド”に多く見られます。りんごが成熟することで、リノール酸やオレイン酸などの脂質が皮の表面に出てくる現象です。
ただし、どうしても心配な方はりんごをよく洗ってから食べるとよいでしょう。
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100%ストレートのりんごジュースから栄養は摂れるのか
100%ストレートのりんごジュースでは、生のりんごと同じ栄養素は摂れません。
なぜなら、ジュースの加工過程でビタミンや食物繊維が減るからです。
そのため皮つきのりんごとストレートりんごジュースではカロリーはほぼ同じものの、カリウムやビタミンCは約1/2に、食物繊維はそれ以下になってしまうでしょう。
一方100%ストレートのジュースはりんごの風味が楽しめるので、飲みすぎに気を付けて楽しむとよいですね。
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美味しく栄養も活かす!りんごの食べ方
ここでは「煮りんごのヨーグルトあえ」をご紹介します。
ヨーグルトには、腸内環境を整える乳酸菌が入っています。
さらにりんごには含まれる食物繊維には、乳酸菌などの善玉菌を増やして腸内環境を整える作用も。
ヨーグルトとりんごは相性抜群な組み合わせですね。
【煮りんごのヨーグルトあえ】
・りんご 1/4個
・無糖ヨーグルト 100g
【作り方】
①りんごは水洗いをしてヘタと種を取り、皮ごと一口大にカットにする
②耐熱容器にりんごを入れてラップをかけて、電子レンジ600Wで2分30秒加熱する
③器に②を入れ、ヨーグルトを入れて混ぜたらできあがり
【ポイント】
・りんごを一口大にカットすることにより、火の通りが早く適度に食感も残ります
・りんごのほのかな甘みで、無糖ヨーグルトも食べやすくなりますよ
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まとめ
以上、りんごはビタミンCや食物繊維だけでなく、ポリフェノールの1種であるプロシアニジンも含まれることがわかりましたね。
プロシアニジンには、内臓脂肪を減らす働きがあることもうれしいポイントです。
1日に食べる目安は1個、ダイエット中や血糖値が気になる方はりんご1/2個を目安にするとよいでしょう。
今回の記事により、健康によいりんごを効率的に取り入れていただけると嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
J-Stage リンゴ果実の個体内における部位別無機成分含量
JAつがる弘前 機能性表示食品
厚生労働省 e-ヘルスネット 主な果物の健康機能性
消費者庁 機能性表示食品について